ポスター印刷のコラム記事

人の目を引くポスターの配色

ポスターの配色にも一定の規則性というものがあります。何でもかんでも感性に従って色を塗っていけばよいというものではありません。逆に感性がなくても、ある原則に従って配色をしていけば誰でも簡単に人の目を引く色使いのポスターができあがるのです。

一般に世の中の色を「色相」「明度」「彩度」という3つの視点で分析します。「色相」とは色の種類のことです。「明度」とは色の明るさです。「彩度」とは色の鮮やかさです。1つの色相に対して様々な明度や彩度をもった色が存在します。ここで次の2つのパターンで色を構成してみます。

1.色相を統一して明度・彩度のみを変化させた色の組み合わせ
2.明度・彩度を統一して、色相のみを変化させた色の組み合わせ

これだけでもそれなりに見栄えのするポスターになりますが、すぐに飽きられてしまいますので、ちょっとアクセントを入れることにします。それは、たとえば「1」の配色に、異なる色相の色をポツンワンポイントで入れてみるのです。また逆に「2」の配色に異なる明度・彩度の色をポツンとワンポイントで入れてみるのです。そうすると絶妙なアクセントがついて、見ている人を飽きさせません。

色の選び方としては、配色された色とは対照的なコントラストの強い少量の色を加えて配色全体を引き締めます。こういう色をアクセントカラーといいます。このようにちょっとした原則を知っているだけで誰にでも簡単に見栄えのする配色のポスターができあがるのです。

さて、ポスターの配色について、どのような色の選び方をすればよいのでしょか?色の選び方についてはいくつかの原則があるのですが、上記の1つの点だけを取り上げて説明してみたいと思います。それは「色相」というものです。これは色の種類のことで、赤、緑、青、シアンマゼンタ、イエローなど様々な種類が存在します。これらを円状に並べたものを「色相環」といいます。

ところでこの色相環における色の順序はどういう基準で並んでいるのでしょうか。決してランダムに並んでいるわけではありません。実はこの色相環において互いに向かい合わせになっている色同士にはある関係が存在するのです。たとえば向かい合わせの色同士を混ぜ合わせると無彩色になり、 絵の具では灰色に近くなります。そして、向かい合わせにある色同士を隣同士に並べると、強い対比が生じ、はっきりした配色になります。この色相環における向かい合わせの色の組み合わせを「補色(ほしょく)」といいます。

ですからたとえば、シアンに対しての赤、マゼンタに対しての緑、イエローに対しての青などの組み合わせは補色の一例なのです。一般に外科医の手術着は緑系統の色が多く使われます。これはなぜだと思いますか?手術で血が手術着についたとき、緑と赤がまざることで、真っ赤な血の色がその鮮やかさを弱め、グレーに近い色に見せることで、血の生々しさを弱める働きがあるのです。

こうした補色対比のことを知っているだけで、誰でも簡単にきれいな配色のポスターを描くことができるのです。

ポスターを作る際には、ポスターの中で見る側に対して一番伝えたいことは何かを考えてみる必要があります。ビジュアルの美しさを見てもらうことは最後の目的ではなくて、あくまでもQ&Aの内容を読んでもらうといったことが目的の場合がほとんどです。そのためにはラインや色や囲みといった装飾を使っていくのは効果がありますが、配色に関しては、できるだけ目立たないような構成をとることも効果的なことがあります。
装飾はどうしても強く目立ってくるようなことが多いので、優先順位が逆転しないように弱めの配色で最小限に利用してみるのも一つの方法です。ポスターの構成は簡単にいうと、背景になっているような地とその上にちりばめられているような図から成り立っていて、地の上にどうやって図をちりばめていくのかといったことでそのポスターの良し悪しが決まってくるのです。
その点で、ポスターの内容に合わせた配色にも気を配るようにしましょう。